P1 近江八幡市における障がいを理由とする差別の解消の推進に関する対応要領 (目的) 第1条 この要領(以下「対応要領」という。)は、障害を理由とする差別の解消 の推進に関する法律(平成25年法律第65号。以下「法」という。)第10条 第1項の規定に基づき、また、障害を理由とする差別の解消の推進に関する基 本方針(平成27年2月24日閣議決定。以下「基本方針」という。)に即して、 法第7条に規定する事項に関し、近江八幡市の市長部局の職員(非常勤職員を 含む。以下「職員」という。)が適切に対応するために必要な事項を定めるもの とする。 (不当な差別的取扱いの禁止) 第2条 職員は、法第7条第1項の規定のとおり、その事務又は事業を行うに当 たり、障がい(身体障がい、知的障がい、精神障がい(発達障がいを含む。)そ の他の心身の機能の障がいをいう。以下この対応要領において同じ。)を理由と して、障がい者(障がい及び社会的障壁により継続的に日常生活又は社会生活 に相当な制限を受ける状態にあるもの。以下この対応要領において同じ。)でな い者と不当な差別的取扱いをすることにより、障がい者の権利利益を侵害して はならない。これに当たり、職員は、別紙に定める留意事項に留意するものと する。なお、別紙中、「望ましい」と記載している内容は、それを実施しない場 合であっても、法に反すると判断されることはないが、障害者基本法(昭和4 5年法律第84号)の基本的な理念及び法の目的を踏まえ、できるだけ取り組 むことが望まれることを意味する(次条において同じ。)。 (合理的配慮の提供) 第3条 職員は、法第7条第2項の規定のとおり、その事務又は事業を行うに当 たり、障がい者から現に社会的障壁の除去を必要としている旨の意思の表明が あった場合において、その実施に伴う負担が過重でないときは、障がい者の権 利利益を侵害することとならないよう、当該障がい者の性別、年齢及び障がい の状態に応じて、社会的障壁の除去の実施について必要かつ合理的な配慮(以 下「合理的配慮」という。)の提供をしなければならない。これに当たり、職員 は、別紙に定める留意事項に留意するものとする。 (監督者の責務) 第4条 職員のうち、課長相当職以上の地位にある者(以下「監督者」という。) は、前2条に掲げる事項に関し、障がいを理由とする差別の解消を推進するた め、次の各号に掲げる事項を実施しなければならない。 (1) 日常の執務を通じた指導等により、その監督する職員の注意を喚起し、 障がいを理由とする差別の解消に関する認識を深めさせること。 (2) 障がい者及びその家族その他の関係者(以下「障がい者等」という。)か ら職員による不当な差別的取扱い又は職員の合理的配慮の不提供に対する P2 相談、苦情の申し出等(以下「職員による障がいを理由とする差別に関する 相談等」という。)があった場合は、迅速に状況を確認すること。 (3) 合理的配慮の必要性が確認された場合は、監督する職員に対して、合理 的配慮の提供を適切に行うよう指導すること。 2 監督者は、障がいを理由とする差別に関する問題が生じた場合には、迅速か つ適切に対処しなければならない。 (懲戒処分等) 第5条 職員が、障がい者に対し不当な差別的取扱いをした場合又は過重な負担 がないにも関わらず合理的配慮を提供しなかった場合には、その態様(状態・ 様子・内容)等によっては、職務上の義務に違反し、又は職務を怠った場合等 に該当し、懲戒処分等に付されることがある。 (相談体制の整備) 第6条 障がい者等からの職員による障がいを理由とする差別に関する相談等に 的確に対応するため、次の課に相談窓口を置く。 (1) 総務部総務課 (2) 市民部人権・市民生活課 (3) 福祉子ども部障がい福祉課 2 職員による障がいを理由とする差別に関する相談等を受ける場合は、性別、 年齢、障がいの状態等に配慮するとともに、対面、電話、ファックス及び電子 メールに加え、障がい者が他人とコミュニケーションを図る際に必要となる多 様な手段を可能な範囲で用意して対応するものとする。 3 第1項の相談窓口は、障がい者等から職員による障がいを理由とする差別に 関する相談等の内容となる事実の詳細その他必要な情報を聴取する等必要な確 認をした上で、該当する職員の所属元の監督者に報告するものとする。所属元 においては、対処する必要があると認めるときは、該当する所属元の上席者又 は第1項の課と協議の上、速やかに是正措置及び再発防止策等を採るものとす る。 4 第3項で対応した結果については、総務部総務課に集約し、相談者のプライ バシーに配慮しつつ関係者間で情報共有を図り、以後の相談等において活用す ることとする。 5 第1項の相談窓口は、必要に応じ、充実を図るよう努めるものとする。 (研修・啓発) 第7条 障がいを理由とする差別の解消の推進を図るため、職員に対し、必要な 研修及び啓発を行うものとする。 2 新たに職員となった者に対しては、障がいを理由とする差別の解消に関する 基本的な事項について理解させるために、また、新たに監督者となった職員に 対しては、障がいを理由とする差別の解消に関し求められる役割について理解 させるために、それぞれ、研修を実施するものとする。 P3 3 前項の内容、回数等の詳細は、総務部総務課長が定める。 4 第1項の啓発を行うに当たっては、職員が障がいの特性を理解するとともに、 障がい者に適切に対応するために、マニュアル等の活用により、意識の啓発を 図るものとする。 付 則 第1条 この要領は、平成28年4月1日から施行する。 第2条 この要領は、国が法に基づき策定する差別解消の推進に関する基本方針 や障がいを理由とした差別に関する相談事例等を踏まえ、必要があると認める ときは、総務部総務課長、福祉子ども部障がい福祉課長及び市民部人権・市民 生活課長が協議の上、所要の見直しを行うこととする。 P4 別紙 近江八幡市における障がいを理由とする差別の解消の推進に関する 対応要領に係る留意事項 第1 不当な差別的取扱いの基本的な考え方 法第7条では、「行政機関等は、その事務又は事業を行うに当たり、障害を理由 として障害者でない者と不当な差別的取扱いをすることにより、障害者の権利利 益を侵害してはならない。」と規定している。 すなわち、法は、障がい者に対して、正当な理由なく、障がいを理由として、 財・サービスや各種機会の提供を拒否する又は提供に当たって場所・時間帯など を制限する、障がい者でない者に対しては付さない条件を付けることなどにより、 障がい者の権利利益を侵害することを禁止している。 ただし、障がい者の事実上の平等を促進し、又は達成するために必要な特別の 措置は、不当な差別的取扱いではない。したがって、障がい者を障がい者でない 者と比べて優遇する取扱い(いわゆる積極的改善措置)、法に規定された障がい者 に対する合理的配慮の提供による障がい者でない者との異なる取扱いや、合理的 配慮を提供等するために必要な範囲で、プライバシーに配慮しつつ障がい者に障 がいの状況等を確認することは、不当な差別的取扱いには当たらない。 このように、不当な差別的取扱いとは、正当な理由なく、障がい者を、問題と なる事務又は事業について、本質的に関係する諸事情が同じ障がい者でない者よ り不利に扱うことである点に留意する必要がある。 第2 正当な理由の判断の視点 正当な理由に相当するのは、障がい者に対して、障がいを理由として、財・サ ービスや各種機会の提供を拒否するなどの取扱いが客観的に見て正当な目的の下 に行われたものであり、その目的に照らしてやむを得ないと言える場合である。 近江八幡市においては、正当な理由に相当するか否かについて、具体的な検討を せずに正当な理由を拡大解釈するなどして法の趣旨を損なうことなく、個別の事 案ごとに、障がい者、第三者の権利利益(例:安全の確保、財産の保全、損害発 生の防止等)及び近江八幡市の事務又は事業の目的・内容・機能の維持等の観点 に鑑み、具体的場面や状況に応じて総合的・客観的に判断することが必要である。 職員は、正当な理由があると判断した場合には、障がい者にその理由を説明す るものとし、理解を得るよう努めることが望ましい。 第3 不当な差別的取扱いの具体例 不当な差別的取扱いに当たり得る具体例は以下のとおりである。なお、第2で 示したとおり、不当な差別的取扱いに相当するか否かについては、個別の事案ご とに判断されることとなる。また、以下に記載されている具体例については、正 P5 当な理由が存在しないことを前提としていること、さらに、それらはあくまでも 例示であり、記載されている具体例だけに限られるものではないことに留意する 必要がある。 (不当な差別的取扱いに当たり得る具体例) @ 正当な理由がなく、障がいを理由として、市が行う給付及びサービス、各種 機会の提供について拒否する具体例 ○ 障がいがあることを理由に、窓口対応を拒否する。 ○ 障がいがあることを理由に、市が所有する公共施設の利用を拒否する。 ○ 障がいがあることを理由に、申請を受理せず給付等を拒否する。 ○ 身体障害者補助犬(盲導犬・聴導犬・介助犬)の同伴を拒否する。 A 正当な理由がなく、障がいを理由として、市が行う給付及びサービス、各種 機会の提供に当たって場所や時間帯等を制限する具体例 ○ 障がいがあることを理由に、対応の順序を後回しにする。サービス提供時 間を変更する又は限定する。 ○ 障がいがあることを理由に、書面の交付、資料の送付、パンフレットの提 供等を拒む。サービス利用に必要な情報提供を行わない。 ○ 障がいがあることを理由に、説明会、シンポジウム、研修会、講演会、式 典等への出席を拒む。 B 正当な理由がなく、障がいを理由として、市が行う給付及びサービス、各種 機会の提供に当たって、障がい者でない者に対して付さない条件を付ける具体 例 ○ 事務・事業の遂行上、特に必要ではないにもかかわらず、障がいがあるこ とを理由に、来庁の際に保護者や支援者・介助者等の付き添い者の同行を求 めるなどの条件を付ける。 ○ 事務・事業の遂行上、特に必要ではないにもかかわらず、障がいがあるこ とを理由に、不必要な質問をしたり、届出や手続きを求めたり、暫定期間を 設けたり、他の利用者の同意を求めるなど、他の利用者と異なる手順を課す。 C 正当な理由がなく、障がいを理由として、市が行う給付及びサービス、各種 機会の提供に当たって、他の者とは異なる取扱いをする具体例 ○ 行事等への参加を制限する。 ○ 事務・事業の遂行上、特に支障がないにもかかわらず、付き添い者の同行 を拒む。 ○ 本人又はその家族等の意思(障がいのある方の意思を確認することが困難 な場合に限る。)に反したサービスを行う。 ○ 本人を無視して、支援者や介助者等の付き添い者のみに話しかける。 ○ 会計での支払いは障がい者がしたのに、おつりは付き添い者に渡す。 P6 ○ 障がい者に対して、ちゃん呼びで子ども扱いをする。 第4 合理的配慮の基本的な考え方 1 障害者の権利に関する条約(以下「権利条約」という。)第2条において、「合 理的配慮」は、「障害者が他の者との平等を基礎として全ての人権及び基本的自 由を享有し、又は行使することを確保するための必要かつ適当な変更及び調整 であって、特定の場合において必要とされるものであり、かつ、均衡を失した 又は過度の負担を課さないもの」と定義されている。 法第7条第2項では、「行政機関等は、その事務又は事業を行うに当たり、 障害者から現に社会的障壁の除去を必要としている旨の意思の表明があった場 合において、その実施に伴う負担が過重でないときは、障害者の権利利益を侵 害することとならないよう、当該障害者の性別、年齢及び障害の状態に応じて、 社会的障壁の除去の実施について必要かつ合理的な配慮をしなければならな い。」と規定している。 すなわち、法は、権利条約における合理的配慮の定義を踏まえ、行政機関等 に対し、個々の場面において、障がい者から社会における事物、制度、慣行、 観念等の社会的障壁の除去を求める旨の『意思の表明があった場合』において、 その実施に伴う『負担が過重でないとき』は、社会的障壁の除去の実施につい て、合理的配慮を行うこと」を求めている。合理的配慮は、障がい者が受ける 制限は、障がいのみに起因するものではなく、社会における様々な障壁と相対 することによって生ずるものとのいわゆる「社会モデル」の考え方を踏まえた ものであり、障がい者の権利利益を侵害することとならないよう、障がい者が 個々の場面において必要としている社会的障壁を除去するための必要かつ合理 的な取組であり、その実施に伴う負担が過重でないものである。 合理的配慮は、近江八幡市の事務又は事業の目的・内容・機能に照らし、必 要とされる範囲で本来の業務に付随するものに限られること、障がい者でない 者との比較において同等の機会の提供を受けるためのものであること、事務又 は事業の目的・内容・機能の本質的な変更には及ばないことに留意する必要が ある。 2 合理的配慮は、障がいの特性や社会的障壁の除去が求められる具体的場面や 状況に応じて異なり、多様かつ個別性の極めて高いものであり、決してマニュ アルにおいて一律に限定されるようなものではない。単に「必要な配慮」を実 施するだけでは、「合理的配慮」に欠ける場合もある。意思の表明がなかったか ら、或いは過重な負担があるから「合理的配慮」を提供しなかったとしても差 別に該当しないというように、差別か否かの判断に注目する等、消極的な法運 用や解釈に終始することは避けなくてはなりません。法の趣旨に鑑み、常に当 該障がい者の目線に立った積極的な対話に努めるとともに、当該障がい者が差 別と感じるには理由があり、職員が差別ではないと感じるにも理由がある、ま た障がい者が配慮を求めるには事情があり、職員が全てに対応できないのにも P7 事情がある。双方それぞれの立場において理由や事情があり、合理的配慮を提 供したくても直ちにはできない場合もあると考えますが、それでもできる配慮 は何か、最善の配慮でなくても現時点における次善の配慮を常に考え、提案し 可能な限り迅速に実施できるよう心掛けることが何よりも職員として重要であ る。 当該障がい者が現に置かれている状況を踏まえ、社会的障壁の除去のための 手段及び方法について、「第5 過重な負担の基本的な考え方」に掲げる要素を 考慮し、代替措置の選択も含め、双方の建設的対話による相互理解を通じて、 必要かつ合理的な範囲で、柔軟に対応がなされるものである。さらに、合理的 配慮の内容は、技術の進展、社会情勢の変化等に応じて変わり得るものである。 合理的配慮の提供に当たっては、障がい者の性別、年齢、状態等に配慮するも のとする。 なお、合理的配慮を必要とする障がい者が多数見込まれる場合、障がい者と の関係性が長期にわたる場合等には、その都度の合理的配慮とは別に、後述す る『環境の整備』を考慮に入れることにより、中・長期的なコストの削減・効 率化につながる点は重要である。 3 『意思の表明』に当たっては、具体的場面において、社会的障壁の除去に関 する配慮を必要としている状況にあることを言語(手話を含む。)のほか、点字、 拡大文字、筆談、実物の提示や身振りサイン等による合図、触覚による意思伝 達など、障がい者が他人とコミュニケーションを図る際に必要な手段(通訳を 介するものを含む。)により伝えられる。 また、障がい者からの意思表明のみでなく、知的障がいや精神障がい(発達 障がいを含む。)等により本人の意思表明が困難な場合には、障がい者の家族、 支援者・介助者、法定代理人等、コミュニケーションを支援する者が本人を補 佐して行う意思の表明も含む。 なお、意思の表明が困難な障がい者が、家族、支援者・介助者、法定代理人 等を伴っていない場合など、意思の表明がない場合であっても、当該障がい者 が社会的障壁の除去を必要としていることが明白である場合には、法の趣旨に 鑑みれば、当該障がい者に対して適切と思われる配慮を提案するために建設的 対話を働きかけるなど、自主的な取組に努めることが望ましい。 4 法第5条では、「行政機関等及び事業者は、社会的障壁の除去の実施について の必要かつ合理的な配慮を的確に行うため、自ら設置する施設の構造の改善及 び設備の整備、関係職員に対する研修その他の必要な環境の整備に努めなけれ ばならない。」と規定している。 すなわち、不特定多数の障がい者を主な対象として行われる「事前的改善措 置」として、バリアフリー法に基づく公共施設や交通機関等のバリアフリー化 (例えば、施設内の段差を解消すること、スロープを設置すること、トイレを オストメイト対応にすること、床をすべりにくくすること、階段や表示を見や すく明瞭にすること、車椅子で利用しやすい高さにカウンターを改善すること P8 等)、意思表示やコミュニケーションを支援するためのサービスや介助者、支援 者等の人的支援、障がい者による円滑な情報の取得や利用、発信のための情報 アクセシビリティ(視覚や聴覚、手の動きなどに障かいがある人が必要とする 情報に簡単にたどり着けて不自由なく利用できる、情報のし易さ)の向上等の 環境の整備に努めることとなっている。 新しい技術開発が環境の整備に係る投資負担の軽減をもたらすこともあるこ とから、技術進歩の動向を踏まえた取組が期待されている。また、環境の整備 には、ハード面のみならず、職員に対する研修等のソフト面の対応も含まれる ことが重要である。 障がい者差別の解消のための取組は、このような環境の整備を行うための施 策と連携しながら進められることが重要であり、ハード面でのバリアフリー化 施策、情報の取得・利用・発信における情報アクセシビリティ向上のための施 策、職員に対する研修等、環境の整備の施策を着実に進めることが必要である。 合理的配慮は、障がい者等の利用を想定したこれらの事前的改善措置として の『環境の整備』を基礎として、その上で、個々の障がい者に対して、その状 況に応じて個別に実施される措置である。したがって、各場面における環境の 整備の状況により、合理的配慮の内容は異なることとなる。また、障がいの状 態等が変化することもあるため、特に、障がい者との関係性が長期にわたる場 合等には、提供する合理的配慮について、適宜、見直しを行うことが重要であ る。 5 近江八幡市が、事務又は事業の全部又は一部を委託等する場合は、提供され る合理的配慮の内容に大きな差異が生ずることにより障がい者が不利益を受け ることのないよう、委託等の条件に、対応要領を踏まえた合理的配慮の提供に ついて盛り込むよう努めることが望ましい。 第5 過重な負担の基本的な考え方 過重な負担については、具体的な検討をせずに過重な負担を拡大解釈するなど して法の趣旨を損なうことなく、個別の事案ごとに、以下の要素等を考慮し、具 体的場面や状況に応じて総合的・客観的に判断することが必要である。職員は、 過重な負担に当たると判断した場合は、障がい者にその理由を説明し、理解を得 るよう努めることが望ましい。 ○ 事務又は事業への影響の程度(事務又は事業の目的、内容、機能を損なう か否か) ※ 当該措置を講ずることによるサービス提供等への影響、その他の事業等 への影響の程度。 ○ 実現可能性の程度(物理的・技術的制約、人的・体制上の制約) ※ 市の公共施設等の立地状況や施設の所有形態等の制約にも応じた、当該 措置を講ずるための機器や技術、人材の確保、設備の整備等の実現可能性 P9 の程度。 ○ 費用・負担の程度 ※ 当該措置を講ずることによる費用・負担の程度。複数の障がい者から合 理的配慮に関する要望があった場合、それらの複数の障がい者に係る必要 性や負担を勘案して判断することとなります。 ○ 事務・事業規模 ※ 市の規模に応じた負担の程度。 ○ 財政・財務状況 ※ 市の財務状況に応じた負担の程度。 第6 合理的配慮の具体例 第4で示したとおり、合理的配慮は、障がいの特性や社会的障壁の除去が求め られる具体的場面や状況に応じて異なり、多様かつ個別性の極めて高いものであ るが、大きく3つの類型に整理することができる。@物理的環境への配慮、A意 思疎通の配慮、Bルール・慣行の柔軟な変更の各具体例としては、次のようなも のがある。 なお、記載した具体例については、第5で示した過重な負担が存在しないこと を前提としていること、また、これらはあくまでも例示であり、記載されている 具体例だけに限られるものではないことに留意する必要がある。 (@合理的配慮に当たり得る物理的環境への配慮の具体例) ○ 段差がある場合に、車椅子利用者にキャスター上げ等の補助をする、携帯 スロープを渡すなどする。 ○ 配架棚の高い所に置かれたパンフレット等を取って渡す。パンフレット等 の位置を分かりやすく伝える。 ○ 目的の場所までの案内の際に、障がい者の歩行速度に合わせた速度で歩い たり、前後・左右・距離の位置取りについて、障がい者の希望を聞いたりす る。また、必要に応じて職員が手を携えるなどの移動を補助する。 ○ 障がいの特性により、頻繁に離席の必要がある場合に、会場の座席位置を 扉付近にする。 ○ 研修会等を開催する場合には、移動距離が少ないところの部屋を利用する。 可能な限り移動と受講・閲覧がしやすい席を案内する。 ○ 障がいの特性に応じて、手話通訳者の手話やパソコン要約のスクリーン画 面が見えやすい座席や磁気ループが敷設され補聴しやすい座席を用意する。 ○ 疲労を感じやすい障がい者から別室での休憩の申し出があった際、別室の 確保が困難であったことから、当該障がい者に事情を説明し、対応窓口の近 くに長椅子を移動させて臨時の休憩スペースを設ける。 ○ 不随意運動等により書類等を押さえることが難しい障がい者に対し、職員 が書類を押さえたり、バインダー等の固定器具を提供したりする。 P10 ○ 災害や事故が発生した際、館内放送で避難情報等の緊急情報を聞くことが 難しい聴覚障がい者に対し、電光掲示板、手書きのボード等を用いて、分か りやすく案内し誘導を図る。 ○ 体温の調整が難しい障害者からの求めに応じ、会議室等の温度を調整する。 ○ エレベーターに乗るのに時間がかかる障がい者のために「開延長ボタン」 を押したり、ボタンを押すことが困難な障がい者のために行き先の階のボタ ンを押す。 ○ エレベータ−がない施設の上下階に移動する際、マンパワーで移動をサポ ートする。 ○ 公共施設内に多目的トイレが設置されている場合は、必要に応じて案内す る。 ○ 申請窓口がエレベーターのない庁舎の2階にある場合等において、下肢機 能障がい等により歩行が困難な障がい者の求めに応じ、窓口に行くことが困 難な場合は、職員が1階の移動しやすい個室等を確保して申請受付対応した り、或いは2階にある事務所等への移動の補助をする。 ○ 会議の場所を1階に移す。トイレに近い場所にする等の配慮をする。 ○ 発達障がい者から、窓口等で他人の視線などが気になると申し出があった 場合に、視線など遮る空間や衝立を用意する。 ○ 車いすを使用している障がい者からの申し出により、職員が窓口カウンタ ーにあったイスを取り除き、窓口に近寄って相談できるようにする。 (A合理的配慮に当たり得る意思疎通の配慮の具体例) ○ 初めに当該障がい者にとって理解しやすい、或いは利用しやすいコミュニ ケーション方法を把握した上で、筆談、読み上げ、手話、点字、指点字、拡 大文字、手書き文字(手のひらに文字を書いて伝える方法)などの適切なコ ミュニケーション手段を用いる。但し、当該障がい者にとってコミュニケー ション方法は一つとは限らず、複数の手法を用いることが必要な場合もある。 ○ 会議資料等について、点字、拡大文字等で作成する際に、各々の媒体間で ページ番号等が異なりうることに留意して使用する。また、点字版では図表 がないことに留意して使用する。 ○ 視覚障がいのある委員に会議資料等を事前送付する際、読み上げソフトに 対応できるよう電子データ(テキスト形式)で提供する。 ○ 意思疎通が不得意な視覚障がい者に対するコミュニケーションツールとし て、データを点字に変換して表示する機器、拡大読書器や音声コードを読み 上げる活字文字読上げ装置等の電気光学機器、弱視眼鏡等の光学機器等のコ ミュニケーションツールを可能な範囲で設置、活用して、説明対応や意思を 確認する。 ○ 耳マークカードは、耳の不自由な人であることを表すもので、耳が聞こえ ない、聞こえにくいということは外見からはわかりにくいので、それらの不 安をもった人たちのコミュニケーションをサポートするためにつくられま P11 した。カードの提示があった際は、呼びかけにご配慮をお願いするとともに、 その人が示したその人に適した下記のコミュニケーション方法で援助する。 □ 手招きをして、呼んでください □ はっきり、口元を見せて話してください □ 短く区切って、ゆっくりと話してください □ 補聴器をしていますので、普通の声の大きさで、話してください □ 筆談をお願いします □ 手話通訳をお願いします ○ 聴覚障がい者に説明をするときは、口話が読めるようマスクを外して、口 が見えるようにして話し、視覚的な補助を行ったり、並行して動作を取り入 れる。 ○ 意思疎通が不得意な聴覚障がい者や発語に困難を有する音声言語機能障が い者、発話及び上肢機能障がいのため書字に困難を有する障がい者に対する コミュニケーションツールとして、メモや磁気ボードによる筆談、絵カード や写真カード、フロー図の視覚提示、ICT(コンピューター等の情報通信 技術)機器(タブレット端末等)や音声を文字変換する機器、表示された絵 などを選択することができる機器、携帯用会話補助装置(トーキングエイド 等)や重度障がい者用意思伝達装置、補聴器等のコミュニケーションツール を可能な範囲で設置、活用して、説明対応や意思を確認する。 ○ 職員による手話や筆談の他、手話通訳者の設置や派遣による手話、要約筆 記者の派遣による筆談やノートテイク等のコミュニケーション支援を行う。 ○ 聴覚障がい者を窓口で呼ぶときは、声だけではなく、プライバシーにも配 慮しながら掲示板や手招き等、見てわかる対応をする。 ○ 盲ろう者(視覚と聴覚の両方に障がいのある者)に必要に応じて、その者 のコミュニケーション方法(指点字、触手話等)での情報提供と通訳及び移 動を支援する。 ○ 思うように口などを動かしにくく、お話が聞き取りにくい人と会話をする ときは、わかったふりをせず、一語一語確認するようにする。 ○ 駐車場や窓口などで通常、口頭で行う案内を、紙にメモをして渡す。 ○ 書類記入の依頼時に、記入方法等を本人の目の前で示したり、わかりやす い記述で伝達したりする。本人の依頼がある場合には、代読や代筆といった 配慮を行う。 ○ 上肢機能障がい者や視覚障がい者から、「自分で書き込むのが難しいので代 わりに書いてほしい」と伝えられたとき、代わりに書くことに問題がない書 類の場合は、その人の意思を十分に確認しながら代わりに書く。 ○ 比喩表現(たとえによる表現)等が苦手な障がい者に対し、比喩(たとえ) や暗喩(たとえるものとたとえられるものをそれとなく示すこと)、二重否 定表現などを用いずに具体的に説明する。 ○ 説明をする際には、短くわかりやすい言葉で、口頭に加え手順書で行うな ど、複数の方法で実施する。 ○ 意思疎通が難しい障がい者に対し情報を伝えるときは、本人が頷いていた P12 としても、口頭のみならずメモを渡し、伝達事項を確認する。 ○ 知的障がい者から申し出があった際に、2つ以上のことを同時に説明する ことは避け、ゆっくり、丁寧に、繰り返し説明し、内容が理解されたことを 確認しながら応対する。また、漢字にはルビをふり、なじみのない外来語は 避ける、漢数字は用いない、時刻は24時間表記ではなく午前・午後で表記 するなどの配慮を念頭に置いたメモを、必要に応じて適時に渡す。また、紙 等に書いて伝達したり、書面を示す場合には、ルビを付与した文字を用いた り、極力ひらがなを用いたり、分かち書き(文を書くとき、語と語の間に空 白を置く書き方)を行ったりする。 ○ 対人関係が苦手な障がい者の場合に、安心して相談できるよう、可能な限 り以前対応した職員が対応に当たる。 ○ パニック状態になったときは、刺激しないように、また危険がないように 配慮し、周りの人にも理解を求めながら、落ち着くまでしばらく見守る。ま た、パニック状態の障がい者へ落ち着ける(クールダウンできる)場所を提 供する。 ○ 障がい特性により生じる不安から来庁目的をつかみかねる話を繰り返され る場合、その話に耳を傾けて気持ちが落ち着かれたときを見計らって、用件 を尋ねる。用件に入ることが難しいときは「用件がわかったらまた来てくだ さい」と穏やかに伝え、「拒否された」という感情が残らないようにする。 ○ 会議の進行に当たり、資料を見ながら説明を聞くことが困難な視覚又は聴 覚に障がいのある委員や知的障がいを持つ委員に対し、ゆっくり、丁寧な進 行を心がけるなどの配慮を行う。 ○ 会議の進行に当たっては、職員等が委員の障がいの特性に合ったサポート を行う等、可能な範囲での配慮を行う。 ○ 会議等の場面では、発言者が変わる度に、発言の前に発言者の名前を名乗 ってから話始める。また、他の者と同時に発言しないようにし、視覚障がい 者の理解や手話通訳者の通訳を妨げないように留意する。 ○ 会議等においては、通訳を介することにより時差が生まれるので、相手に 通じたことを確認してから進行する。特に質問の有無の問いかけ、多数決の 場面は、タイムラグがあることを考慮する。 ○ 講演会や会議の時に、手話通訳者や要約筆記者をつける。スライド使用時 に言葉での説明もつけるなど、視覚と聴覚の双方から情報入手が得られるよ うに配慮する。 (Bルール・慣行の柔軟な変更の具体例) ○ 順番を待つことが苦手な障がい者や先の見通しが見えないことが不安な障 がい者に対し、順番を教えてあとどのくらい待つのか見通しを示したり、周 囲の者の理解を得た上で、手続き順を入れ替える。 ○ 立って列に並んで順番を待っている場合に、周囲の者の理解を得た上で、 当該障がい者の順番が来るまで別室や席を用意する。 P13 ○ スクリーン、手話通訳者、板書等がよく見えるように、スクリーン等に近 い席を確保する。 ○ 車両乗降場所を施設出入口に近い場所へ変更する。 ○ 近江八幡市の所有する公共施設等の敷地内の駐車場等において、障がい者 の来庁が多数見込まれる場合、通常、障がい者専用とされていない区画を障 がい者専用の区画に変更する。 ○ 入館時に入口を通過することが困難な場合、別ルートからの入館を認める。 ○ 他人との接触、多人数の中にいることによる緊張等により、不随意(本人 の意によらない)の発声や発作等がある場合、当該障がい者に説明の上、障 がいの特性や施設の状況に応じて別室等のスペースを準備する。 ○ 非公表又は未公表情報を扱う会議等において、情報管理に係る担保が得ら れることを前提に、障がいのある委員の理解を援助する者の同席を認める。 ○ 障がいの特性に応じた休憩時間等の調整などのルール、慣行を柔軟に変更 する。 ○ 疲労を感じやすい障がい者等が参加することが予め想定される説明会や講 演会、会議等を開催する場合においては、定期的な休憩を入れたり、開催時 間に応じて適切な休憩時間を設けたり、個別に説明をする時間を設ける。 ○ 聴覚障がい者に対して、問い合わせ先にファックス番号やメールアドレス が書かれた書類を渡す。 ○ 市の事業等への申込みや予約方法について、電話のみではなく、ファック スやメール等、様々な障がい特性に配慮した申込み方法を可能とする。また、 先着順により特定の障がい者が利用できないことが想定される場合は抽選 による方法とする。 ○ 外出が困難な人に対して、郵送での手続を認める。 ○ 複数課をまたぐ手続が必要な場合、必要であれば次の課まで誘導する。 (障がい特性に応じた留意点について) 障がい特性に応じた対応の具体例に関しては、厚生労働大臣が決定し示した「障 害者差別解消法福祉事業者向けガイドライン〜福祉分野における事業者が講ずべ き障害を理由とする差別を解消するための措置に関する指針〜」第3(3)に代 表的な障がい特性と対応時に配慮すべき事項について示されているので、別添に 留意されたい。 P14 別添 (厚生労働省発出資料より) 第3 障害を理由とする不当な差別的取扱い及び合理的配慮の例 (3)障害特性に応じた対応について 障害者と接する際には、それぞれの障害特性に応じた対応が求められます。 以下に、代表的な障害特性と対応時に配慮すべき事項について簡単にまとめて います。 このほか、障害児については、成人の障害者とは異なる支援の必要性があり ます。子どもは成長、発達の途上にあり、乳幼児期の段階から、個々の子ども の発達の段階に応じて一人ひとりの個性と能力に応じた丁寧に配慮された支援 を行う発達支援が必要です。また、子どもを養育する家族を含めた丁寧かつ早 い段階からの家族支援が必要です。特に、保護者が子どもの障害を知った時の 気持ちを出発点とし、障害を理解する態度を持つようになるまでの過程におい ては、関係者の十分な配慮と支援が必要です。 また、医療的ケアを要する障害児については、配慮を要する程度に個人差が あることに留意し、医療機関等と連携を図りながら、個々の状態や必要な支援 を丁寧に確認し、適切な支援を行うことが必要です。 1.視覚障害(視力障害・視野障害) 2.聴覚障害 3.盲ろう(視覚と聴覚の重複障害) 4.肢体不自由〔車椅子を使用されている場合、杖などを使用されている場合〕 5.構音障害 6.失語症 7.高次脳機能障害 8.内部障害 9.重症心身障害・その他医療的ケアが必要な者 10.知的障害 11.発達障害 自閉症 アスペルガー症候群を含む広汎性発達障害(自閉症スペクトラム) 学習障害(限局性学習障害) 注意欠陥多動性障害(注意欠如・多動性障害) その他の発達障害 12.精神障害 統合失調症 気分障害 依存症(アルコール) てんかん 認知症 13.難病 P15 視覚障害(視力障害・視野障害) 〔主な特性〕 ●先天性で受障される方のほか、最近は糖尿病性網膜症などで受障される人も多 く、高齢者では、緑内障や黄斑部変性症が多い ●視力障害:視覚的な情報を全く得られない又はほとんど得られない人と、文字 の拡大や視覚補助具等を使用し保有する視力を活用できる人に大きく分けられ る (全盲、弱視といわれることもある) ※ 視力をほとんど活用できない人の場合、音声、触覚、嗅覚など、視覚以外 の情報を手がかりに周囲の状況を把握している ※ 文字の読みとりは、点字に加えて最近では画面上の文字情報を読み上げる ソフトを用いてパソコンで行うこともある(点字の読み書きができる人ばか りではない) ※ 視力をある程度活用できる人の場合は、補助具を使用したり文字を拡大し たり近づいて見るなどの様々な工夫をして情報を得ている ●視野障害:目を動かさないで見ることのできる範囲が狭くなる ▼「求心性視野狭窄」見える部分が中心だけになって段々と周囲が見えなくな る。遠くは見えるが足元が見えず、つまづきやすくなる ▼「中心暗転」周囲はぼんやり見えるが真ん中が見えない。文字等、見ようと する部分が見えなくなる ●視力障害、視野障害の状況によって、明るさの変化への対応が困難なため、移 動などに困難さを生じる場合も多い 〔主な対応〕 ○音声や点字表示など、視覚情報を代替する配慮 ○中途受障の人では白杖を用いた歩行や点字の触読が困難な人も多いため留意が 必要 ○声をかける時には前から近づき「○○さん、こんにちは。△△です。」など自ら 名乗る ○説明する時には「それ」「あれ」「こっち」「このくらいの」などと指差し表現や 指示代名詞で表現せず、「あなたの正面」「○○くらいの大きさ」などと具体的 に説明 ○普段から通路(点字ブロックの上等)に通行の妨げになるものを置かない、日 頃視覚障害者が使用しているものの位置を変えないなど周囲の協力が不可欠 ○主に弱視の場合、室内における照明の状況に応じて、窓を背にして座ってもら うなどの配慮が必要 聴覚障害 〔主な特性〕 ●聴覚障害は外見上わかりにくい障害であり、その人が抱えている困難も他の人 からは気づかれにくい側面がある ●聴覚障害者は補聴器や人工内耳を装用するほか、コミュニケーション方法には P16 手話、筆談、口話など様々な方法があるが、どれか一つで十分ということでは なく、多くの聴覚障害者は話す相手や場面によって複数の手段を組み合わせる など使い分けている ●補聴器や人工内耳を装用している場合、スピーカーを通じる等、残響や反響の ある音は、聞き取りにあまり効果が得られにくい ●聴覚の活用による言葉の習得に課題があることにより、聴覚障害者の国語力は 様々であるため、筆談の場合は、相手の状況にあわせる 〔主な対応〕 ○手話や文字表示、手話通訳や要約筆記者の配置など、目で見てわかる情報を提 示したりコミュニケーションをとる配慮 ○補聴器や人工内耳を装用し、残響や反響のある音を聞き取ることが困難な場合 には、代替する対応への配慮(磁気誘導ループの利用など) ○音声だけで話すことは極力避け、視覚的なより具体的な情報も併用 ○スマートフォンなどのアプリに音声を文字に変換できるものがあり、これらを 使用すると筆談を補うことができる 盲ろう(視覚と聴覚の重複障害) 〔主な特性〕 ●視覚と聴覚の重複障害の人を「盲ろう」と呼んでいるが、障害の状態や程度に よって様々なタイプに分けられる(視覚障害、聴覚障害の項も参照のこと) ▲<見え方と聴こえ方の組み合わせによるもの> @全く見えず聴こえない状態の「全盲ろう」 A見えにくく聴こえない状態の「弱視ろう」 B全く見えず聴こえにくい状態の「盲難聴」 C見えにくく聴こえにくい状態の「弱視難聴」 ▲<各障害の発症経緯によるもの> @盲(視覚障害)から聴覚障害を伴った「盲ベース盲ろう」 Aろう(聴覚障害)から視覚障害を伴った「ろうベース盲ろう」 B先天的、あるいは乳幼児期に視覚と聴覚の障害を発症する「先天性盲ろう」 C成人期以後に視覚と聴覚の障害が発症する「成人期盲ろう」 ●盲ろう者がそれぞれ使用するコミュニケーション手段は、障害の状態や程度、 盲ろうになるまでの経緯、あるいは生育歴、他の障害との重複の仕方によって 異なり、介助方法も異なる ●テレビやラジオを楽しんだり本や雑誌を読むことなどもできず、家族といても ほとんど会話がないため、孤独な生活を強いられることが多い 〔主な対応〕 ○盲ろう者関係機関に相談し、対応に関する助言を受ける ○障害の状態や程度に応じ視覚障害や聴覚障害の人と同じ対応が可能な場合があ るが、同様な対応が困難な場合が多く、手書き文字や触手話、指点字などの代 替する対応や移動の際にも配慮する ○言葉の通訳に加えて、視覚的・聴覚的情報についても意識的に伝える P17 (例)状況説明として、人に関する情報(人数、性別等)や環境に関する情報 (部屋の大きさや机の配置、その場の雰囲気等)など 肢体不自由 ■車椅子を使用されている場合 〔主な特性〕 ●脊髄損傷(対麻痺又は四肢麻痺、排泄障害、知覚障害、体温調節障害など) ●脳性麻痺(不随意運動、手足の緊張、言語障害、知的障害重複の場合もある) ●脳血管障害(片麻痺、運動失調) ●病気等による筋力低下や関節損傷などで歩行が困難な場合もある ●ベッドへの移乗、着替え、洗面、トイレ、入浴など、日常の様々な場面で援助 が必要な人の割合が高い ●車椅子使用者にとっては、段差や坂道が移動の大きな妨げになる ●手動車椅子の使用が困難な場合は、電動車椅子を使用する場合もある ●障害が重複する場合には、呼吸器を使用する場合もある 〔主な対応〕 ○段差をなくす、車椅子移動時の幅・走行面の斜度、車椅子用トイレ、施設のド アを引き戸や自動ドアにするなどの配慮 ○机アプローチ時に車椅子が入れる高さや作業を容易にする手の届く範囲の考慮 ○ドア、エレベータの中のスイッチなどの機器操作のための配慮 ○目線をあわせて会話する ○脊髄損傷者は体温調整障害を伴うことがあるため、部屋の温度管理に配慮 ■杖などを使用されている場合 〔主な特性〕 ●脳血管障害(歩行可能な片麻痺、運動失調) ●麻痺の程度が軽いため、杖や装具歩行が可能な場合や、切断者などで義足を使 用して歩行可能な場合は、日常生活動作は自立している人が多い ●失語症や高次脳機能障害がある場合もある ●長距離の歩行が困難であったり、階段、段差、エスカレーターや人ごみでの移 動が困難な場合もあり、配慮が必要 〔主な対応〕 ○上下階に移動するときのエレベータ−設置・手すりの設置 ○滑りやすい床など転びやすいので、雨天時などの対応 ○トイレでの杖おきの設置や靴の履き替えが必要な場合に椅子を用意するなどの 配慮 ○上肢の障害があれば、片手や筋力低下した状態で作業ができる配慮 構音障害 〔主な特性〕 ●話す言葉自体を聞き取ることが困難な状態 ●話す運動機能の障害、聴覚障害、咽頭摘出などの原因がある P18 〔主な対応〕 ●しっかりと話を聞く ●会話補助装置などを使ってコミュニケーションをとることも考慮する 失語症 〔主な特性〕 ●聞くことの障害 音は聞こえるが「ことば」の理解に障害があり「話」の内容が分からない 単語や簡単な文なら分かる人でも早口や長い話になると分からなくなる ●話すことの障害 伝えたいことをうまく言葉や文章にできない 発話がぎこちない、いいよどみが多くなったり、誤った言葉で話したりする ●読むことの障害 文字を読んでも理解が難しい ●書くことの障害 書き間違いが多い、また「てにをは」などをうまく使えない、文を書くことが 難しい 〔主な対応〕 ○表情がわかるよう、顔を見ながら、ゆっくりと短いことばや文章で、わかりや すく話しかける ○一度でうまく伝わらない時は、繰り返して言ったり、別のことばに言い換えた り、漢字や絵で書いたり、写真・実物・ジェスチャーで示したりすると理解し やすい ○「はい」「いいえ」で答えられるように問いかけると理解しやすい ○話し言葉以外の手段(カレンダー、地図、時計など身近にあるもの)を用いる と、コミュニケーションの助けとなる ※「失語症のある人の雇用支援のために」(独立行政法人高齢・障害者雇用支援機構障害者 職業総合センター)より一部引用 高次脳機能障害 交通事故や脳血管障害などの病気により、脳にダメージを受けることで生じる 認知や行動に生じる障害。身体的には障害が残らないことも多く、外見ではわ かりにくいため「見えない障害」とも言われている。 〔主な特性〕 ●以下の症状が現れる場合がある 記憶障害:すぐに忘れてしまったり、新しい出来事を覚えることが苦手なため、 何度も同じことを繰り返したり質問したりする 注意障害:集中力が続かなかったり、ぼんやりしていてしまい、何かをすると ミスが多く見られる。二つのことを同時にしようとすると混乱する。主に左 側で、食べ物を残したり、障害物に気が付かないことがある P19 遂行機能障害:自分で計画を立てて物事を実行したり、効率よく順序立てられ ない 社会的行動障害:ささいなことでイライラしてしまい、興奮しやすい。こだわ りが強く表れたり、欲しいものを我慢できない。思い通りにならないと大声 を出したり、時に暴力をふるったりする 病識欠如:上記のような症状があることに気づかず、できるつもりで行動し てトラブルになる ●失語症(失語症の項を参照)を伴う場合がある ●片麻痺や運動失調等の運動障害や眼や耳の損傷による感覚障害を持つ場合があ る 〔主な対応〕 ○本障害に詳しいリハビリテーション専門医やリハ専門職、高次脳機能障害支援 普及拠点機関、家族会等に相談する ○記憶障害 手がかりがあると思い出せるので、手帳やメモ、アラームを利用したり、ル ートマップを持ち歩いてもらうなどする 自分でメモを取ってもらい、双方で確認する 残存する受傷前の知識や経験を活用する(例えば、過去に記憶している自宅 周囲では迷わず行動できるなど) ○注意障害 短時間なら集中できる場合もあるので、こまめに休憩を取るなどする ひとつずつ順番にやる 左側に危険なものを置かない ○遂行機能障害 手順書を利用する 段取りを決めて目につくところに掲示する スケジュール表を見ながら行動したり、チェックリストで確認する ○社会的行動障害 感情をコントロールできない状態にあるときは、上手に話題や場所を変えて クールダウンを図る 予め行動のルールを決めておく 内部障害 〔主な特性〕 ●心臓機能、呼吸器機能、腎臓機能、膀胱・直腸機能、小腸機能、肝機能、HIV (ヒト免疫不全ウイルス)による免疫機能のいずれかの障害により日常生活に 支障がある ●疲れやすく長時間の立位や作業が困難な場合がある ●常に医療的対応を必要とすることが多い 〔主な対応〕 ○ペースメーカーは外部からの電気や磁力に影響をうけることがあるので注意す P20 べき機器や場所などの知識をもつ ○排泄に関し、人工肛門の場合、パウチ洗浄等特殊な設備が必要となることへの 配慮 ○人工透析が必要な人については、通院の配慮 ○呼吸器機能障害のある方は、慢性的な呼吸困難、息切れ、咳等の症状があるこ とを理解し、息苦しくならないよう、楽な姿勢でゆっくり話をしてもらうよう 配慮 ○常時酸素吸入が必要な方は、携帯用酸素ボンベが必要な場合があることを理解 重症心身障害・その他医療的ケアが必要な者 〔主な特性〕 ●自分で体を動かすことができない重度の肢体不自由と、年齢に相応した知的発 達が見られない重度の知的障害が重複している ●殆ど寝たままで自力では起き上がれない状態が多い ●移動、食事、着替え、洗面、トイレ、入浴などが自力ではできないため、日常 の様々な場面で介助者による援助が必要 ●常に医学的管理下でなければ、呼吸することも栄養を摂ることも困難な人もい る ●重度の肢体不自由や重度の知的障害はないが、人工呼吸器を装着するなど医療 的ケアが必要な人もいる 〔主な対応〕 ○人工呼吸器などを装着して専用の車椅子で移動する人もいるため、電車やバス の乗降時等において、周囲の人が手伝って車椅子を持ち上げるなどの配慮が必 要 ○体温調整がうまくできないことも多いので、急な温度変化を避ける配慮が必要 知的障害 〔主な特性〕 ●概ね18 歳頃までの心身の発達期に現れた知的機能の障害により、生活上の適 応に困難が生じる ●「考えたり、理解したり、読んだり、書いたり、計算したり、話したり」する 等の知的な機能に発達の遅れが生じる ●金銭管理、会話、買い物、家事などの社会生活への適応に状態に応じた援助が 必要 ●主な原因として、ダウン症候群などの染色体異常、または先天性代謝異常によ るものや、脳症や外傷性脳損傷などの脳の疾患があるが、原因が特定できない 場合もある ●てんかんを合併する場合もある ●ダウン症候群の場合の特性として、筋肉の低緊張、多くの場合、知的な発達の 遅れがみられること、また、心臓に疾患を伴う場合がある P21 〔主な対応〕 ○言葉による説明などを理解しにくいため、ゆっくり、ていねいに、わかりやす く話すことが必要 ○文書は、漢字を少なくしてルビを振る、文書をわかりやすい表現に直すなどの 配慮で理解しやすくなる場合があるが、一人ひとりの障害の特性により異なる ○写真、絵、ピクトグラムなどわかりやすい情報提供を工夫する ○説明が分からないときに提示するカードを用意したり、本人をよく知る支援者 が同席するなど、理解しやすくなる環境を工夫をする 発達障害 ■自閉症、アスペルガー症候群を含む広汎性発達障害(自閉症スペクトラム) 〔主な特性〕 ●相手の表情や態度などよりも、文字や図形、物の方に関心が強い ●見通しの立たない状況では不安が強いが、見通しが立つ時はきっちりしている ●大勢の人がいる所や気温の変化などの感覚刺激への敏感さで苦労しているが、 それが芸術的な才能につながることもある。 〔主な対応〕 ○本人をよく知る専門家や家族にサポートのコツを聞く ○肯定的、具体的、視覚的な伝え方の工夫(「○○をしましょう」といったシンプ ルな伝え方、その人の興味関心に沿った内容や図・イラストなどを使って説明 するなど) ○スモールステップによる支援(手順を示す、モデルを見せる、体験練習をする、 新しく挑戦する部分は少しずつにするなど) ○感覚過敏がある場合は、音や肌触り、室温など感覚面の調整を行う(イヤーマ フを活用する、大声で説明せずホワイトボードで内容を伝える、人とぶつから ないように居場所を衝立などで区切る、クーラー等の設備のある部屋を利用で きるように配慮するなど) ■学習障害(限局性学習障害) 〔主な特性〕 ●「話す」「理解」は普通にできるのに、「読む」「書く」「計算する」ことが、努 力しているのに極端に苦手 〔主な対応〕 ○本人をよく知る専門家や家族にサポートのコツを聞く ○得意な部分を積極的に使って情報を理解し、表現できるようにする(ICT を活 用する際は、文字を大きくしたり行間を空けるなど、読みやすくなるように工 夫する) ○苦手な部分について、課題の量・質を適切に加減する、柔軟な評価をする ■注意欠陥多動性障害(注意欠如・多動性障害) 〔主な特性〕 ●次々と周囲のものに関心を持ち、周囲のペースよりもエネルギッシュに様々な ことに取り組むことが多い P22 〔主な対応〕 ○本人をよく知る専門家や家族にサポートのコツを聞く ○短く、はっきりとした言い方で伝える ○気の散りにくい座席の位置の工夫、分かりやすいルール提示などの配慮 ○ストレスケア(傷つき体験への寄り添い、適応行動が出来たことへのこまめな 評価) ■その他の発達障害 〔主な特性〕 ●体の動かし方の不器用さ、我慢していても声が出たり体が動いてしまったりす るチック、一般的に吃音と言われるような話し方なども、発達障害に含まれる 〔主な対応〕 ○本人をよく知る専門家や家族にサポートのコツを聞く ○叱ったり拒否的な態度を取ったり、笑ったり、ひやかしたりしない ○日常的な行動の一つとして受け止め、時間をかけて待つ、苦手なことに無理に 取組まず出来ることで活躍する環境を作るなど、楽に過ごせる方法を一緒に考 える 精神障害 ●精神障害の原因となる精神疾患は様々であり、原因となる精神疾患によって、 その障害特性や制限の度合いは異なる ●精神疾患の中には、長期にわたり、日常生活又は社会生活に相当な制限を受け る状態が続くものがある ●代表的な精神疾患として、統合失調症や気分障害等がある ●障害の特性もさまざまであるため、積極的に医療機関と連携を図ったり、専門 家の意見を聴くなど、関係機関と協力しながら対応する ■統合失調症 〔主な特性〕 ●発症の原因はよく分かっていないが、100人に1人弱かかる、比較的一般的 な病気である ●「幻覚」や「妄想」が特徴的な症状だが、その他にも様々な生活のしづらさが 障害として表れることが知られている ●陽性症状 幻覚:実態がなく他人には認識できないが、本人には感じ取れる感覚のこと。 なかでも、自分の悪口やうわさ、指図する声等が聞こえる幻聴が多い 妄想:明らかに誤った内容を信じてしまい、周りが訂正しようとしても受け入 れられない考えのこと。誰かにいやがらせをされているという被害妄想、周 囲のことが何でも自分に関係しているように思える関係妄想などがある ●陰性症状 意欲が低下し、以前からの趣味や楽しみにしていたことに興味を示さなくなる 疲れやすく集中力が保てず、人づきあいを避け引きこもりがちになる 入浴や着替えなど清潔を保つことが苦手となる など P23 ●認知や行動の障害: 考えがまとまりにくく何が言いたいのかわからなくなる 相手の話の内容がつかめず、周囲にうまく合わせることができない など 〔主な対応〕 ○統合失調症は脳の病気であることを理解し、病気について正しい知識を学ぶ必 要がある ○薬物療法が主な治療となるため、内服を続けるために配慮する ○社会との接点を保つことも治療となるため、本人が病気と付き合いながら、他 人と交流したり、仕事に就くことを見守る ○一方で、ストレスや環境の変化に弱いことを理解し、配慮した対応を心掛ける ○一度に多くの情報が入ると混乱するので、伝える情報は紙に書くなどして整理 してゆっくり具体的に伝えることを心掛ける ○症状が強い時には無理をさせず、しっかりと休養をとったり、速やかに主治医 を受診することなどを促す ■気分障害 〔主な特性〕 ●気分の波が主な症状としてあらわれる病気。うつ状態のみを認める時はうつ病 と呼び、うつ状態と躁状態を繰り返す場合には、双極性障害(躁うつ病)と呼 ぶ ●うつ状態では気持ちが強く落ち込み、何事にもやる気が出ない、疲れやすい、 考えが働かない、自分が価値のない人間のように思える、死ぬことばかり考え てしまい実行に移そうとするなどの症状がでる ●躁状態では気持ちが過剰に高揚し、普段ならあり得ないような浪費をしたり、 ほとんど眠らずに働き続けたりする。その一方で、ちょっとした事にも敏感に 反応し、他人に対して怒りっぽくなったり、自分は何でも出来ると思い込んで 人の話を聞かなくなったりする 〔主な対応〕 ○専門家の診察の上で、家族や本人、周囲の人が病気について理解する ○薬物療法が主な治療となるため、内服を続けるために配慮する ○うつ状態の時は無理をさせず、しっかりと休養をとれるよう配慮する ○躁状態の時は、金銭の管理、安全の管理などに気を付け、対応が難しい時には 専門家に相談する ○自分を傷つけてしまったり、自殺に至ることもあるため、自殺などを疑わせる ような言動があった場合には、本人の安全に配慮した上で、速やかに専門家に 相談するよう本人や家族等に促す ■依存症(アルコール) 〔主な特性〕 ●飲酒したいという強い欲求がコントロールができず、過剰に飲酒したり、昼夜 問わず飲酒したりすることで身体的、社会生活上の様々な問題が生じる ●体がアルコールに慣れることで、アルコールが体から抜けると、発汗、頻脈、 手の震え、不安、イライラなどの離脱症状が出る P24 ●一念発起して断酒しようとしても、離脱症状の不快感や、日常生活での不安感 から逃れるために、また飲んでしまう 〔主な対応〕 ○本人に病識がなく(場合によっては家族も)、アルコール依存症は治療を必要と する病気であるということを、本人・家族・周囲が理解する ○周囲の対応が結果的に本人の飲酒につながってしまう可能性があるため、家族 も同伴の上で、アルコール依存症の専門家に相談する ○一度断酒しても、再度飲酒してしまうことが多いため、根気強く本人を見守る ■てんかん 〔主な特性〕 ●何らかの原因で、一時的に脳の一部が過剰に興奮することにより、発作がおき る ●発作には、けいれんを伴うもの、突然意識を失うもの、意識はあるが認知の変 化を伴うものなど、様々なタイプのものがある 〔主な対応〕 ○誰もがかかる可能性がある病気であり、専門家の指導の下に内服治療を行うこ とで、多くの者が一般的な生活が送れることを理解する ○発作が起こっていないほとんどの時間は普通の生活が可能なので、発作がコン トロールされている場合は、過剰に活動を制限しない ○内服を適切に続けることが重要である。また、発作が起こってしまった場合に は、本人の安全を確保した上で専門機関に相談する ■認知症 〔主な特性〕 ●認知症とは、単一の病名ではなく、種々の原因となる疾患により記憶障害など 認知機能が低下し、生活に支障が出ている状態である ●原因となる主な疾患として、 アルツハイマー型認知症、血管性認知症、レビー 小体型認知症、前頭側頭型認知症(ピック病など)がある ●認知機能の障害の他に、行動・心理症状(BPSD)と呼ばれる症状(徘徊、不 穏、興奮、幻覚、妄想など)がある 〔主な対応〕 ○高齢化社会を迎え、誰もが認知症とともに生きることになる可能性があり、ま た、誰もが介護者等として認知症に関わる可能性があるなど、認知症は皆にと って身近な病気であることを理解する ○各々の価値観や個性、想い、人生の歴史等を持つ主体として尊重し、できない ことではなく、できることに目を向けて、本人が有する力を最大限に活かしな がら、地域社会の中で本人のなじみの暮らし方やなじみの関係が継続できるよ う、支援していく ○早期に気付いて適切に対応していくことができるよう、小さな異常を感じたと きに速やかに適切な機関に相談できるようにする ○BPSD については、BPSD には 、何らかの意味があり、その人からのメッセ ージとして聴くことが重要であり、BPSD の要因として、さまざまな身体症状、 P25 孤立・不安、不適切な環境・ケア、睡眠や生活リズムの乱れなどにも目を向け る ○症状が変化した等の場合には、速やかに主治医を受診し、必要に応じて専門機 関に相談することなどを促す 難病 〔主な特性〕 ●神経筋疾病、骨関節疾病、感覚器疾病など様々な疾病により多彩な障害を生じ る ●常に医療的対応を必要とすることが多い ●病態や障害が進行する場合が多い 〔主な対応〕 ○専門の医師に相談する ○それぞれの難病の特性が異なり、その特性に合わせた対応が必要 ○進行する場合、病態・障害の変化に対応が必要 ○排泄の問題、疲れやすさ、状態の変動などに留意が必要 ○体調がすぐれない時に休憩できる場所を確保する