教育長室から
No.11 ぶらり はちまん「ふるさとに愛着と誇りを 沖島再発見」
教育長室から No.11
ぶらり はちまん「ふるさとに愛着と誇りを 沖島再発見」
近江八幡市教育長 大喜多 悦子
「親父について漁に出て、実際に見て勉強していった。」「自分が網を仕掛けたところを覚えるのが大変だったが、経験を重ねた。」「魚の鮮度には気をつけ、評判を高めた。」
今年度で10回目を迎える『ふるさと学習教職員等現地研修会「ぶらり はちまん」』は、7月31日に、沖島在住の漁師・郷土史家西居正吉さん(90)の講話で始まりました。一人前になるまでの苦労や経験をゆっくりと話される中に、漁師としての矜持を感じるとともに、沖島の歴史や行事等「沖島愛」あふれる語りでした。
本市では、子どもたちが地域への愛着と誇りを持ち、地域や社会に貢献できるよう育成するため「ふるさと学習」を推進しています。また教職員自らが本市の歴史遺産や自然資源を活かしたまちづくりについての学習機会を設け、ふるさと学習の推進につなげるよう現地研修会を実施しています。平成28年八幡学区を皮切りに開催し、今年度で10回目を迎えています。
沖島は、言うまでもなく、日本で唯一、世界でも珍しい淡水湖に浮かぶ有人島。堀切港から通船で約10分。周囲約7キロメートル、人口約240人。身近にある沖島ですが、市民の方でも、実際に訪れたことがある方は案外少ないのではないでしょうか。
このあと研修会は、沖島小学校の紹介・見学、フィールドワーク(沖島展望台、桟橋、奥津島神社、願證寺での読経体験)と続き、「沖島のやさしいアイス」を食して、沖島の魅力満載の研修を終えました。
ちなみに「沖島のやさしいアイス」は、平成28年度に沖島小児童・島民・コープしがとの連携で、学校の畑で採れるサツマイモを材料にしたアイスを考案し、池田牧場の協力を得て開発・商品化したもの。ほんのりした甘みとイモの食感も楽しめます。沖島小の児童は、9月13日には、守山市のコープもりやま店で、元気に沖島アイスをPRし、販売体験もしました。
現在、沖島小児童は15名。うち島内の子は2名。ほかの児童は、毎日沖島通船を利用して登校しています。本市では、通学区域の弾力化制度により、沖島小学校へは市内全域から通学することができます。沖島は「ふるさと学習」の宝庫です。4月の全校での通称ケンケン山(尾山)登りに始まり、フナずし作り体験、エビたつべを使った漁体験、琵琶湖での遠泳会、郵便局や湖島婦貴(ことぶき)の会(特産品販売店)の人にインタビューしながらの沖島オリエンテーリング、沖島のお店紹介の動画作成等。沖島の自然にはぐくまれ、島の人たちと交流しながら、子どもたちの心が育っていきます。
現地研修会では、西居さんの話などから、新たな発見がいくつもありました。沖島から縄文土器が発見されていること、柿本人麻呂(かきのもとひとまろ)や紫式部(むささきしきぶ)が沖島を詠んだ歌があることなど。
淡海(おうみ)の海 沖(おき)つ島山 奥(おく)まけて わが思(おも)ふ妹(いも)が 言(こと)の繁(しげ)けく
柿本 人麻呂
(心の奥深くから想う愛しい人の恋の噂が絶えないことを嘆く気持ちを詠んだ歌)
おいつしま 島(しま)守(も)る神(かみ)や いさむらむ 浪(なみ)も騒(さわ)がぬ わらはべの浦(うら)
紫 式部
(沖島のお守りする神様が諫めてくださり、波も騒がない静かな童の浦ですね。
紫式部は父藤原為時が越前守に任ぜられたので、ともに越前に下ります。翌年琵琶湖東岸を経て帰京したときに詠んだ歌。)
沖島の歴史は古く、昔は、湖上を行き交う舟人から航行の安全を祈願し、神の島と崇められる無人島だったそうです。人麻呂の歌碑は、沖島コミュニティセンターの近くに、式部の歌碑は湖周道路・野洲市辺りに立っています。
ゆったりとした時間が流れ、昔ながらの暮らしがある沖島。どうぞ沖島に出かけてみてください。
参考文献 「沖島物語」 西居正吉 著
PDF版
教育長室からNo.11 (PDFファイル: 758.0KB)
バックナンバー
教育長室からNo.10 (PDFファイル: 774.5KB)
この記事に関するお問い合わせ先
教育委員会 教育総務課
〒523-8501 滋賀県近江八幡市桜宮町236番地
電話番号:0748-36-5539
ファックス:0748-32-3352
メールフォームによるお問い合わせ
更新日:2023年09月29日